新しい製品やサービスをユーザが受け入れる
きっかけになったプロジェクトとは?

日本には少子高齢化やコロナ禍など、急激な社会変化に伴う様々な社会課題があり、こういった社会課題を解決するための新しいサービスや製品が開発・ローンチされています。しかし、ユーザは新しい製品やサービスに対して、不安に思ったり親しみが持てないことが原因で、なかなか普及が進まないことがあります。こういったなかでは、ユーザにもっと自分たちの製品・サービスを理解してもらうことや、ユーザからの意見をより良いサービス改善のためのフィードバックとして活用することが重要となっています。福岡市では箱崎というまちを起点に、未来に誇れるスマートシティのモデル都市を目指していくなかで、こういった課題を解決するための様々な実証実験を推進しています。開発・ローンチに向けた具体的な課題検証はもちろんのこと、周辺住民の皆さんへモニターとしてご参加いただき、最先端なサービスへの理解促進だけでなく、アンケートを通じたサービス・製品に対する効果や課題のフィードバックを促進することも重要な目的のひとつです。今回は、過去に行った実証実験を例に、住民の体験をもとにフィードバックしていった事例をご紹介します。

実現可能性のある技術を検証する実証実験『Smart East PoC Program』

未来に誇れる福岡発のスマートシティ実現に向けて、実装可能性のある技術やサービスの実証実験を行う『Smart East PoC Program』では、平成30年に活動を開始して以来、これまで12件の実証実験を支援してきました。「Smart East PoC Program2021」では、特に健康(ウェルネス)、安全(セキュリティ)、 移動(モビリティ)に関連する技術を持つ事業者の応募を求めています。

例えば、自動運転のコミュニティバスの運行や、歩行を支援するパーソナルモビリティの導入によって、自由に移動することが難しい高齢者の移動手段をテクノロジーによって確保することができます。また、AIやオンラインを活用することで遠隔医療(遠隔診療・服薬指導)が実現し、IoT端末による子供や高齢者を見守る社会基盤を構築することも可能です。

経験したことがない技術だからこそ、実証実験で体験を

もちろん、メリットばかりに目を向けることはできません。「本当に安全なのか?」「実際に利用することを考えると不安」など、まだ誰も体験したことがない技術であることや、社会実装されて間もない機能ゆえに、不安に感じる方もいらっしゃるかと思います。私たちが取り組んでいる実証実験では、安全性を確保したうえで、実際に体験してもらうことでモニターとなる住民の皆さんの不安を取り除くことを目的としています。そこで、公共交通における社会課題解決の鍵を握る移動分野の実証実験では、住民の方にもご参加いただき、自動運転モビリティの走行実験を行いました。

自動運転小型バスに試乗した方の9割の方が「安心」と回答

自動運転ベンチャー『BOLDLY』と実施した「ハンドルのない自動運転小型バス」の走行実験では、一般市民を対象に試乗モニターを募集しました。自動運転で公共交通の課題解決を目指す『BOLDLY』が提供する自動運転技術は、バスのドライバー不足や高齢者などの移動手段の確保、バス会社の経営難など多くの課題解決に貢献することが期待され、すでに社会実装されている地域もあります。

 

ハンドルのない自動運転小型バス

 

アンケートの結果、「試乗中、安心感はありましたか?」という質問に対して9割の方が「安心」と回答する結果となりました。「最初は不安だったが、安心して乗れた」という声も挙がっており、自動運転の技術に対して安心感を持っていただけたことがわかりました。さらに、「今後、⾃動運転バスが普及したら利⽤したいか?」という質問には、9割以上が「利用したい」と回答、「⾃動運転の技術に期待しているか」という質問には、ほぼ100%が「期待している」と回答していました。
※「ハンドルのない自動運転小型バス」のアンケート結果は下記のとおり。

 

Q2. 試乗中、安心感はありましたか?

 

 

Q3. 今後、自動運転バスが普及したら利用したいか?

 

 

Q4. 自動運転の技術に期待しているか

 

『Smart East PoC Program』から見えてきたスマートシティへの期待

今回ご紹介したアンケートを通して、最先端技術の実装に対する期待感を強く感じました。『Smart East PoC Program』を開始して約3年、モニターである住民の皆様からのフィードバックを多くいただくことで、だんだんとスマートシティの外郭が見えてきたと実感しています。今後も事業者の皆さんのご協力のもと、先進的な技術や革新的なビジネスモデル等に対する実証実験に係る支援を行い、住民の皆さんにご理解とフィードバックをいただきながら、最先端の製品・サービスの開発機運の醸成と未来に誇れる新しいまちづくりへの期待につなげていきたいと考えております。今後の実証実験にもどうぞご期待ください!

Fukuoka Smart East推進コンソーシアム 事務局
info@fukuoka-dc.jpn.com